2019/3/11 名古屋ウィメンズマラソン2019
2度目のマラソンで自信を得たトラックの五輪金メダリスト・デファー
「第2グループで走ることも考えたけど、名古屋は走りやすかったので先頭集団で走りました」
「マラソンではジュニアだけど、次回は2時間20分を切って、東京五輪では金メダルを取りたい」


 今回出場した選手の中で世界的に最も注目を集めていたのは、間違いなくメセレト・デファー(エチオピア)だろう。
 大会プログラムには、以下のようにプロフィールが記載されている。
1983年11月19日生まれ。155cm、42kg
5000mでは04年アテネ五輪に優勝し、06年と07年には世界記録を更新した。08年の14分12秒88は世界歴代3位である。その3シーズンが記録的にはピークだったが、12年ロンドン五輪で2度目の金メダルと勝負強さを見せた。8位に終わった昨年の初マラソンは「良い準備ができていたのにレースの週が予定通りいかなかった」と悔やむ。その反省を名古屋に生かす。

 2度目のマラソンとなった名古屋は30kmからのペースアップについていくことができず、2時間23分33秒で4位に終わった。
 この結果を、トラックで世界のトップに立ったデファーが、どう受け止めているのか。そして今後のマラソンに対してどんなステップを踏んだのか。
 レース翌日にデファーにインタビューを試みた。

Q.福士加代子選手の印象は?
デファー 彼女とは世界ジュニアで一緒に走りましたし(2000年大会5000mでデファー2位、福士4位)、ベルギーでも一緒に走ったことを覚えています(ナイトオブアスレティック5000mでデファー2位、福士3位)。その後も何度も一緒に走ってきました。笑顔が素敵で、好感度を持っているアスリートです。

Q.昨日は2度目のマラソンで2時間23分33秒(4位)でした。悪い結果だったのか、自信がつく結果だったのか、どちらですか。
デファー 自信になりましたね。初マラソンは昨年10月のアムステルダムで2時間27分台でした。そのレースでケガをしてしまったので、回復期間をとってから本格的な練習を再開しました。勝ちたかったので嬉しくはありませんけど、6週間の準備期間だったことを考えたら良い結果だったと思います。100%とは言えない状態でした。

Q.ケガの場所は?
デファー 左ふくらはぎです。アムステルダムのレース中、中間点前に痛めてしまって、1月17日に本格的に走り始めました。それまではジョッグやジムでの練習でした。6週間の練習でしたが、マネジャーが名古屋は良いコースで、今の私に適した大会だからと勧めてくれたんです。コーチである夫は、セカンドグループで行った方がいいと提案してくれました。私たちは何度も何度もディスカッションを重ね。最終的には快適なレース(快適な気候というニュアンス)だったので、第1集団でもリラックスして走ることができました。ただ、そこまで自分の結果を期待していたわけではありません。だからもっと長く練習すれば、もっと走れる自信を得られました。

Q.トラックと同じように、マラソンを手の内にできた感覚がありますか。
デファー 今回のレースが自信にはなりましたが、マラソンはまだ2回目ですから、まだまだジュニアのようなもの。学習している最中です。本番のペースや給水も、トレーニングも、試行錯誤している段階です。トラックなら自分を良い状態にできたら結果を予測できますが、マラソンは複雑な要素をマネジメントしないといけません。マラソンはタフで難しいと感じていますし、学習がまだまだ必要です。

Q.出産は何年にされたのですか。
デファー 2014年の6月22日に娘を産みました。名前はガブリエラです。

Q.出産前後で走る理由が変わりましたか?
デファー 私が走るのは、神がそのモチベーションを与えてくれたからです。ユニフォームを着て、スタートラインに立つとスイッチが入ります。1番になるためで、2番ではダメなんです。ある意味、別人みたいになります。練習でも同じ感じで、集中して、ハードトレーニングを行います。そういう性質なんでしょう。ハードトレーニングをするから強くなれると思っています。その姿勢、メンタル面は出産後も、何も変わっていません。ただ、出産後はケガをしやすくなりました。

Q.次に目標とする記録や成績は?
デファー 脚を十分に回復させたらトレーニングを再開して、たぶん9月か秋に次のマラソンを走ることになると思います。大きな計画としては東京五輪の代表になることが目標になります。エチオピアの女子は何人もの選手が2時間20分を切っているので選考を勝ち抜くのが難しい状況ですが、私も次のマラソンで2時間20分を切って、勝負をしていきたい。

Q.トラックでライバルだったティルネシュ・ディババ(エチオピア)選手が、マラソンでは先に好成績を残しています。ディババ選手に勝つ自信は?
デファー 彼女とはともに長いキャリアを積み、良い成績を出すことを成し遂げてきましたが、今は正直、勝ちたいとか戦うという気持ちではなくて、マラソンでも同じレースを走ってみたい。以前は5000mでしたが、今度は42.195kmの距離を彼女と一緒に走ってみたい。

Q.東京五輪の目標は3個目の金メダルですか。
デファー 金メダルを取ることをイメージしています。全ての選手が金メダルを取りたいと思っているでしょう。私も全力を尽くします。


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